シマリスがどんな病気にかかるかを理解しておくことは、病気の予防にもつながります。
シマリスの体や病気についてまだまだわかっていない事が多いので、病気になった時に的確な治療が
できないことも少なくありません。
私たち飼い主は、病気にさせないような飼育をし、少しでも異常が見られたら、すぐに獣医師の診察を
受け、早期発見、早期治療につとめましょう。
異常に早く気がつくためには、できるだけ多くシマリスを観察しておくことも大切です。
元気なシマリスはどんな風に呼吸をしているのか、病気のシマリスはどんな様子かなどを、知っておきま
しょう。
治療法については、獣医師に相談してください。
診察を受けるときの注意点
シマリスはとてもすばしっこい動物です。病院に連れて行っても、じっとしていてはくれません。しかしそ
れではきちんと診断を受けることができず、正しい診断ができない恐れがあります。
普段、よく馴れていても、病院のような異なる環境に置かれるとパニックになることが多いので、移動用
ケースからすぐに出さず、先生の指示に従いましょう。ネット状の袋にシマリスを入れて保定したり、小さな
プラケースに入れて観察や診療をする方法もあります。このように、場合によっては細部にわたっての診
察が難しいことがありますがだからこそ飼い主が日ごろの観察をよく行ない、どんなことでも先生に報告
することが大切です。
ちょっとしたことでも診察の助けとなる可能性がありますので、飼育の記録はきちんとつけておき、持参
するようにしましょう。
神経症状などで異常行動が見られるような場合は、診察室でその行動をするとは限りません。家でビデ
オを撮っておくのも、診察のためには大いに役立ちます。
外傷
シマリスとのコミュニケーションの項で説明したように、シマリスを室内に放している時に起こる事故はと
ても多いものです。ケガをさせないような飼い方を心がけましょう。
尾の切断
シマリスの尾は、強くつかむと簡単に切れてしまいます。捕まえようとして尾をもったり、踏んでしまわな
いようにして下さい。切れた尾は二度と生えてきませんから気をつけましょう。
先端のほうが少し切れてしまったような場合は、小さく清潔なケージやプラケースに移し、動き回れない
ようにしておくと、しばらくすれば自然に血が止まり、治癒することが多いものです。
消毒薬を塗布したり、絆創膏をはったりすると、かえって患部を気にして かじってしまい、治癒が遅れ
る場合もありますので注意してください。しかし、損傷の程度や状態によっては、獣医師の診察を受ける
必要があります。尾は切れなくても、皮膚だけがむけてしまった場合は、尾を切断したほうがいい事も
あります。家で飼育しているシマリスなら、たとえ尾がなくてもさしさわりなく生きていけます。
ケガ
他のシマリスとのケンカや、ケージの縁などに引っ掛けて、ケガをすることがあります。ごく軽いものな
ら、尾の切断時と同様に、小さく清潔なケージやプラケースに移しておくことで出血は止まり、治癒するこ
とがほとんどです。
傷が大きく出血量が多い場合、また傷は小さく出血が少なくてもシマリスがショック状態になっている
場合には、落ち着かせるためにケージやプラケースには布などをかけて暗くし、速やかに獣医師の指示
を仰ぎます。
骨折
ケージなどに爪や指をひっかけ、それを取ろうと暴れた拍子や、高いところから飛び降りたときの着地
場所が固かった場合などに骨折することがあります。足を引きずっていたり、足を床につけないで歩いて
いるような場合は、骨折している可能性があります。いつも元気で遊んでいるシマリスが、急にじっとして
いるような時も、可能性のひとつとして骨折が考えられるでしょう。
骨折する部位は、手と足が多いでしょう。この場合、ゲージではなくプラスチック水槽などで飼育すること
により運動をできるだけ最小限に押さえ、自然治癒を持ちます。骨折した部分の骨が固まるまでは、あま
り広くなく、よじ登れない容器に入れておきいます。元通りになる可能性はきわめて低いのですが、この
方法で直すのがベストであると思われます。障害は残りますが、できる限り安全な飼育環境を用意してあ
げてください。
犬や猫であればピンニング手術などその他の方法も取れますが、シマリスの場合には自然治癒に任せ
るのがいいでしょう。
手指の骨折も、自然治癒を待ちましょう。多くの場合は患部が脱落してしまいますが、生活に支障がお
きることはほとんどありません。場合によっては、皮膚を破って骨が飛び出してしまうもどの重傷を負い、
最悪の場合、切断せざるをえないこともあります。脊椎に損傷を受けると、半身不随となったり、死亡する
こともあります。骨折の危険がない飼育環境を用意しましょう。
不正咬合
シマリスの上下の切歯は、一生伸び続けます。噛み合わせが正常であれば、上下の歯はお互いにこす
れ合って伸びすぎることはありませんしかし、噛み合わせが悪いと、歯をこすり合わせることができず、伸
び続けてしまいます。そしてエサを食べられずに衰弱したり、口腔内を傷つけてしまいます。獣医師に相
談し、長さを調整してもらいましょう。
不正咬合は、繰り返すことが多いので、定期的に歯の確認をすることを忘れないようにしましょう。堅い
エサや木などをゲージに入れておき、齧れるようにしておくことは、歯の伸びすぎを防止する一助となりま
す。
肺炎
湿っぽい不潔な飼育環境に置かれ、さまざまなストレスと受けていると、上部気道炎、ひどい時には肺
炎といった呼吸器感染症になりやすいものです。清潔で風通しのいい環境で飼育しなければなりません。
肺炎に感染したシマリスは、食欲、元気がなく丸まり、呼吸が早く、荒くなります。シマリスに限らず、小
さな動物の場合、たいした事はないと思っていては手遅れになってしまいます。クシャミ、鼻水を出してい
たり、涙目になっているようならすぐに獣医師診察を受けましょう。さまざまな形での抗生物質の投与や、
ビタミン類の補給が効果的です。
特に、きわめて幼い子リスを購入した場合、完全に離乳を済ませていない個体ですから、母リスからの
充分な免疫を受け取っていないのです。その上ペットショップでは、保温やエサなど、決して子リスにとって
よいとはいえない飼育環境に置かれていることが多く、そのような固体を家に持ち帰ることは、環境の変
化という更なる衝撃を子リスに与えることになります。そのことによって肺炎となる危険性が非常に高いこ
とを充分に理解してください。
子リスを購入、飼育する際は、飼育環境とエサに細心の注意を払い、少しでも異常が見られたらすぐに
獣医師の診察を受けてください。また、シマリスには人間のインフルエンザウィルスが感染しますから、風
邪を引いている時の接触は避けるか、慎重に行ないましょう。
下痢
シマリスが下痢をする原因はさまざまです。細菌性、ウィルス性、寄生虫性のものなどが原因となり、早
急に対処しないと生命に関わる場合もありますから、なるべく早く獣医師に相談するべく早く獣医師に
相談するべきです。
シマリスの状態によっては、動物病院まで移動させず、まず検便を行ない、対応策を決定するほうがい
い場合もあります。突然のエサの変更や、水分を多く含むえさの与えすぎ、傷んだエサを食べることも下
痢の原因となりますし、ストレスによって下痢をすることもあります。エサや飼育環境を見直してください。
日射病
日差しのきわめて強い季節に、シマリスを直射日光下に放置すると、体温調節機能が適切に働かず、
体温が異常に上昇し、日射病となります。か呼吸となり、ぐったりし、嘔吐や下痢を起こすこともあります。
すぐに涼しい場所に移し、体を冷やさなくてはなりません。
夏は、日射病、熱射病に至らなくとも、暑さでバテてしまうこともありますから、水を入れて凍らせたペッ
トボトルを作っておき、身体を冷やさねばならない時、ケージに入れてあげると効果的です。このような準
備がない場合には、ハンドタオル程度の、あまり大きくないタオルを冷水で湿らせて固く絞り、シマリスの
体を包んでください。ほんの数分でも、日射病となる恐れがありますから、夏場の日光浴をさせる場合
は、春や秋の穏やかな気候を選び、ケージ内には必ず日陰を作りましょう。
自咬症
シマリスは強いストレスがかかると、神経性の下痢をしたり、脱毛することがありますが、自咬症もストレ
スに起因するものの一つです。
自分の尾を執拗に齧り、けがぬけてしまったり、四肢を齧ってしまうこともあります。最も適切な治療は、
ストレスの原因をよく見直しましょう。また、ストレスではなく、齧っている部分に皮膚病などの異常があり、
それを気にしていることもありますから、患部の確認も行なってください。
脱毛
体毛が抜け、皮膚が露出してしまうことがありますが、その原因にはさまざまなものが考えられます。尾
の毛が密に生えていなかったり、毛が抜け落ちてネズミの尾のようになってしまうのも、明らかに異常な
状態です。
皮膚真菌症や栄養障害、ストレスなどが、シマリスの脱毛の主な原因です。皮膚真菌症は、真菌の感
染によるもので、脱毛するとともに、フケ状のものがみられることがあります。
真菌に感染しているかどうかを知るには、動物病院で検査を受けることが必要です。皮膚真菌症は、日
和見感染といって、動物の健康状態が良好な時なら、感染していても症状は出ず、何の問題もないので
すが、体調を崩していると、症状うが現れるものです。日頃から、飼育環境やエサに十分な注意を払って
飼育することが皮膚真菌症を防ぐためには有効です。栄養の偏ったエサを与えることも脱毛の原因となり
ます。雑穀物やペレット、野菜・果物類をバランスよく与えるとともに、総合ビタミン剤を添加するといいでし
ょう。
シマリスが好んで食べるからといって、ナッツ類やおやつタイプのペレットばかり与えることは慎まなくては
いけません。
ストレスは、多くの疾病の原因となりますが、脱毛もそのひとつです。シマリスの飼育に敵していない飼
育環境、エサ、またかどのコミュニケーションなどにも問題がありますが、シマリスを部屋に放すことによる
ストレスにも注意を払う必要があります。ケージから広い部屋に出して遊ばせえてあげればストレス解消
になる、と思いがちですが、飼い主の都合でケージから出し入れをするのは、固体によっては大きなスト
レスとなることがあるのは知っておくべきでしょう。
その他にも、外部寄生虫、内分泌系の疾患など、脱毛の原因と考えられるものは数多いので、素人判
断で解決しようとせず、まずは獣医師の審査を受けるようにしましょう。
コクシジウム症
コクシジウムという原虫が感染して起きる病気です。感染するコクシジウムの種類や、シマリスの体調に
より、症状はさまざまです。健康な固体でも感染していることは多いのですが、特に症状があらわれない
限り、あまり心配する必要はありません。
しかし、ペットショップから、きわめて幼い子リスを購入するときには、この病気について頭に入れておく
必要があります。「肺炎」の項目で説明しているように、幼い子リスの健康状態は非常に不安定なもので
す。
そうした時期にさまざまなストレスにさらされることにより、子リスはコクシジウム症を発祥し、下痢や発
熱、食欲不振となり、志望する場合も少なくありません。
子リスを購入、飼育する際は、飼育環境とエサに細心の注意を払い、購入後、最初に排泄したフンを動
物病院に持参し、コクシジウム等の検査を受けておけば安心でしょう。少しでも異常が見られたらすぐに
獣医師の診察を受けてください。
シマリスが体調を崩したときの対処
シマリスのような小さな動物が、明らかに衰弱している時は、すでに持病が進行している可能性が高い
ものです。一刻も早く獣医師の診察を受けなければなりませんが、それまでの対応、動物病院への移動
方法などによって、病状が悪化することもあれば好転することもあるのです。
保温は非常に重要です。体温の維持には大きなエネルギーが必要ですが、疾病で消耗し、さらに食欲
の廃絶で外からのカロリー供給が絶たれているような場合では、体温の維持すらままならなくなります。
このような状態では、これ以上体温が外に逃げていかないように、外気温をシマリスの体温に近づける
か、一時的に体温より高熱の熱源をシマリスの体に接触させて、体温の維持を補助してあげる必要があ
ります。
ただし、暖めすぎは熱射病を引き起こしますので、様子を見ながら保温します。特に夏場は、蒸し暑すぎ
ないようにするなどの、注意が必要です。ちなみにシマリスの体温は37〜39.5℃と、人間の体温よりも
高いのですから、手の平で包んで暖めようとしても、シマリスにとっては冷たい布団をかぶせられたような
ものとなり、逆効果だということは知っておきましょう。
さて、動物病院への移動ですが、シマリスの状態によっては移動するだけでもストレスとなり、命を落と
すこともあります。まず、獣医師に電話で状況をよく説明し、連れて行くべきかどうかの指示をあおいでく
ださい。
移動する場合、狭い移動用ケージの中で使い捨てカイロを使用することは控えてください。使い捨てカ
イロは空気中の酸素を取り込んで発熱しますから、酸欠状態になることも考えられます。熱くなりすぎな
いように注意シナがら、湯たんぽなどを使うといいでしょう。
また、応急的な措置として、飲み水に総合ビタミン剤やブドウ糖を炭化して飲ませることも効果的です。
ただし、当然ですが移動時には、移動用ケージの中に水を置くことは避けてください。体が濡れてしまう
と、ますます体温が奪われてしまいます。同様の理由から、移動用ケージには巣材をたっぷりと入れ、排
泄物で体がぬれないようにしましょう。