星座名 神   話
てんびん座
9月24日〜10月22日
 ギリシャ神話では、神々が人を創り出した頃を『黄金の時代』といい、人々は争いも無く平和に暮らしていました。神々の父ゼウスと女神テーミスの間に生まれたアストレーアは、正義の女神で、人々と正義を語り合っていました。
 ところが、『黄金の時代』から『銀の時代』を過ぎ、『青銅の時代』になると人々は武器を持ち争いを起こすようになったのです。やがて、『鉄の時代』になると人々の心に悪が住みつき、正直で誠実な人は少なくなりました。神々はこんな人間にあきれ果て、次々と地上を去りオリンポスの山の上に住むようになりました。
 人間の悩みの深さを知っていたアストレーアは、最後まで地上で正義を守ろうとしていました。しかし、手におえないほど人間が悪に染まると、ついにアストレーアも地上に心を残しつつ天上に去っていってしまいました。
 このアストレーアの持つ天秤(てんびん)は、人の『良い心』と『悪い心』をはかる正義の天秤なのです。


さそり座
10月23日〜11月22日
 海の神ポセイドンの息子であるオリオンは人気のある伝説上の人物で、いくつかの伝説があります。
 オリオンは、巨人のように背が高く、美男子で腕の良い狩人でした。ある時仲間と酒を飲んで酔っ払い、みんなにおだてられて上機嫌になったオリオンは、つい『天下に自分ほど腕の良い猟師はいない。たとえ逃げ足の速い鹿だって、自分に掛かれば亀も同然、熊やライオンだって、赤ん坊のようなものだ。』と自慢げに話しました。それを聞かされた神々達は、あまりの思い上がりの激しいオリオンに怒りました。特に大地の女神の怒りは激しく、怒りのおさまらない大地の女神は一匹のサソリを呼んで、『オリオンを刺し殺しておしまい』と命令しました。
 サソリは密かにオリオンに忍び寄り、猛毒の針を突き刺したのです。さすがのオリオンもサソリの毒にはかなわず、バタリと倒れ息絶えてしまいました。
 この手柄で、サソリは星座となり天に上げられました。オリオン座も星座になりましたが、今でもさそり座が東の空から昇ると、オリオン座は逃げ去るように西の空に沈んでいきます。


いて座
11月23日〜12月22日
 腰から下が馬の姿をしたケンタウロス族と呼ばれる馬人族がいました。ケンタウロス族は乱暴で無知な人々であると思われていましたが、このいて座に描かれたケイローンだけは特別で、誠実な賢者でした。
 ケイローンは、クロノスと妖精フィリラの間に生まれ、正義感強い賢い馬人に成長しました。太陽の神アポロンと月の女神アルテミスから、音楽、医術、予言、狩りの方法などを学びペーリオン山の洞穴に住んでいました。
 ケイローンは、勇者ヘルクレスやカストルに武術をおしえたり、のちに医術の神と言われたアスクレピオスに医術を教えたり、他にもギリシアの英雄達を育てました。
 ヘルクレスがケンタウロス族と戦った時、ケイローンはあやまってヘルクレスの毒矢に当って死んでしまいました。神々の父ゼウスはこれをたいへん残念がって、ケイローンをいて座として星座にしました。